【司法書士が教える】株式会社・持分会社(合同・合名・合資会社)のメリット・デメリット完全比較ガイド

会社を作ろう

「会社を作ろう!!」

起業を考えた場合に、個人事業主として仕事をするか、はたまた会社を作って仕事をするのか・・

そして、会社を作るとした場合に、株式会社にするべきか合同会社にするべきか・・

それとも別の会社形態にするべきか・・悩みは尽きないと思います。

会社設立を考えた場合に、どの会社形態を採るべきなのか。

そんな方のために、ここでは、最もポピュラーな会社形態である株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の四つの形態を比較し、それぞれのメリット・デメリットをご説明しようと思います。

目次

会社の形態

会社の形態には、以下の4つの形態があります。

①株式会社

②合同会社(持分会社)

③合名会社(持分会社)

④合資会社(持分会社)

合同会社、合名会社、合資会社は総称して「持分会社」と呼びます。

大枠では、株式会社と持分会社という会社形態に分かれ、この持分会社の中で更に合同会社・合名会社・合資会社の3つに分けられています。

ちなみに有限会社という会社形態もありますが、有限会社法が廃止されたため、現在は設立することはできません。
(既存の有限会社は現在も株式会社に準ずる形式として残っています。)

会社形態による比較

会社形態別比較表
商号株式会社合同会社合名会社合資会社
必要出資者数1名以上1名以上1名以上2名以上

※1

出資者責任

※2

間接有限責任間接有限責任無限責任無限責任

直接有限責任

最低資本金1円以上1円以上制限なし制限なし
決算公告必要不要不要不要
役員の任期最長10年

役員改選義務あり

なしなしなし
認知度高い株式会社に比べると低い低い低い
株式の公開可能不可不可不可
代表者の呼称代表取締役代表社員代表社員代表社員
節税メリット受けられる受けられる受けられる受けられる
社会保険の加入義務義務義務義務
重要事項の決定機関株主総会社員総会社員総会社員総会

※1 合資会社には、無限責任社員と有限責任社員の最低2名が必要となります。

※2 有限責任とは、出資者が出資した金額の範囲内で責任を負うことを言います。

無限責任とは、出資者が出資した額を超えて会社の債務を無制限に負うことを言います。

設立費用の比較

会社形態別 設立費用比較表
商号株式会社合同会社合名会社合資会社
定款認証

印紙代

※1

定款認証

約50000万円

印紙代

40000万円

印紙代

40000万円

印紙代

40000万円

印紙代

40000万円

登録免許税

(最低金額)

15万円6万円6万円6万円
その他費用

※2

約2万円約2万円約2万円約2万円
合計約26万円約12万円約12万円約12万円

※1 印紙代については、電子定款認証をした場合には不要です。

※2 その他費用は、郵送・交通費、印鑑作成代金等を指します。

会社設立費用について

上記の図を見ていただければわかるとおり、株式会社と合同・合名・合資会社ではかなり設立費用に差があります。

電子定款認証をすれば、合同・合名・合資会社の設立費用は8万円程度となります。

会社設立時点ではできるだけコストを抑えたい!!という方には非常に有用な会社形態と言えます。

会社設立費用

株式会社

株式会社とは

会社を作ろうとした場合に、大多数の方が思い浮かべる会社形態といえば『株式会社』でしょう。

株式会社では、株式を発行し、出資者(株主)から集めた資金によって会社を運営していきます。

株式会社の場合、資本(出資者)と経営(経営者)は分離しており、経営者の出した利益を出資者に分配するスタイルとなります。(所有と経営の分離)

(ちなみに、合同会社の場合には、出資者=経営者が基本です。)

ただし、株式会社設立時点では、出資者=経営者となっていることがほとんどです。

また、最低資本金制度が廃止されたため、現在では容易に会社を設立することが可能となりました。

最低資本金制度

株式会社を設立するには資本金を1000万円、有限会社を設立するには300万円の資本金を用意することを求めた制度。
もともと会社債権者を保護するために規定された制度ではあったが、起業の障害となることが多く、会社法の導入とともに廃止された。

株式会社のメリット

株式会社のメリット
社会的認知度が高い。会社形態として最も一般的。
万が一、事業に失敗しても、出資者(株主)は出資の範囲において有限責任を負う。
一般の人から出資を募ることが可能。

株式を発行しているので、最終的に上場が可能。

1円会社の設立が可能。また、一人での会社設立も可能。
節税が可能。
非公開会社の場合、株式の譲渡制限を設定できるので、望まない株主を加入させずに済む。

株式会社のデメリット

株式会社のデメリット
会社設立コストが高い。(合同会社等の持分会社と比較した場合)
決算公告義務があるため、ランニングコストが高い。(官報公告掲載費用等がかかる)
役員に任期がある。(最長10年)

役員の任期に従い、必ず役員変更登記をしなければならないため、ランニングコストがかかる。

合同会社

合同会社とは

合同会社は「LLC(Limited Liability Company)」とも呼ばれ、アメリカのLLCを参考に作られた会社形態です。

合同会社では、出資者全員が有限責任社員となり会社を運営することになるので、株式会社と違い出資者と経営者が同一です。

また、合同会社では出資額に関係なく利益を分配することができます。

合同会社について調べていると、「スモールビジネス」、「家族経営」、「上場出来ない」などの言葉が出てきて、合同会社を敬遠される方も多いと思います。

確かに、合同会社はスモールビジネスに向いていますし、家族経営にも最適です。しかも、上場できないことも事実です。

しかし、大きな会社を作ることが出来ない訳ではありません。

ここではどのような会社があるのかご紹介しておこうと思います。

・西友
・Apple Japan
・日本ケロッグ
・ユニバーサル・ミュージック

いかがでしょうか。皆さんが当たり前にご存知の会社名が並んでいると思います。

合同会社を選択するか株式会社を選択するかの違いは、会社の方向性や各会社形態のメリット・デメリットによって決められていることが分かるかと思います。

「合同会社=小さい」といった固定概念を持たず、それぞれのメリット・デメリットによってご自身に合った会社形態を選んでいただければと思います。

合同会社のメリット

合同会社のメリット
会社設立費用が安い。

(株式会社と異なり、公証役場での定款認証手続きが不要で、かつ登録免許税(最低額6万円)も安い。)

万が一、事業に失敗しても、出資者は出資の範囲において有限責任を負う。
1円会社の設立が可能。また、一人での会社設立も可能。
決算公告義務がなく、役員の任期もないためランニングコストが安く済む。
節税が可能。
定款自治の範囲が広く、会社法に反しない限り、会社の内部組織を自由に設計することが可能。

また、権限や利益の配分を出資額と無関係に設定することが可能。

出資者=経営者なので、迅速な意思決定が可能。

合同会社のデメリット

合同会社のデメリット
株式会社と比べると社会的認知度が低い。
合同会社のままでは株式の公開が出来ないため、上場出来ない。

(出資者=経営者となってしまうため、一般からの出資を募ることが出来ない。)

社長の名称が代表取締役ではなく、「代表社員」となってしまう。
出資額に関係なく、権利や利益の配当を決定できるため、社員間で対立する可能性がある。

合名会社・合資会社

合名会社・合資会社とは

合名会社とは、「無限責任社員」1名以上で構成される会社形態を言います。

合資会社とは、「無限責任社員」と「直接有限責任社員」の2名以上で構成される会社形態を言います。

無限責任社員は、会社債権者に対して直接に責任を負い、その責任の範囲は出資額にとどまりません。

直接有限責任社員は、出資金についてはその金額の範囲内で限定的に責任を負うことになります。

しかし、会社債権者に対しては「直接に責任を負う」ことになりますので、会社債権者に対しては無限に負債を弁済しなくてはなりません。

ちなみに、株式会社や合同会社の「間接有限責任」の場合には、「出資額の範囲内においてのみその責任を負う」ことになりますので、会社の保証人等になっていない限り、出資額以上の責任を負うことにはなりません。

ここまで読んでいただくと、合名会社や合資会社を設立する人なんているの?と思われるかもしれませんが、合名会社・合資会社は旧財閥でよく用いられていました。

財閥は同族会社であったが故に、家制度をの延長で利用するには都合が良かったようです。

しかし、現在ではリスクが大きいためあまり用いられることはありません。

合名・合資会社のメリット

合名・合資会社のメリット
会社設立費用が安い。

(株式会社と異なり、公証役場での定款認証手続きが不要で、かつ登録免許税(最低額6万円)も安い。)

決算公告義務がなく、役員の任期もないためランニングコストが安く済む。
資本金の制限がなく、出資は金銭以外(信用・労務)のみでも可能。
節税が可能。
定款自治の範囲が広く、会社法に反しない限り、会社の内部組織を自由に設計することが可能。

また、権限や利益の配分を出資額と無関係に設定することが可能。

出資者=経営者なので、迅速な意思決定が可能。

合名・合資会社のデメリット

合名・合資会社のデメリット
社会的認知度が低い。
合名・合資会社のままでは株式の公開が出来ないため、上場出来ない。

(出資者=経営者となってしまうため、一般からの出資を募ることが出来ない。)

社長の名称が代表取締役ではなく、「代表社員」となってしまう。
出資額に関係なく、権利や利益の配当を決定できるため、社員間で対立する可能性がある。
合資会社の場合、最低2名いないと設立ができない。1名になった場合は、新たに社員を追加するか、合名会社又は合同会社に組織変更する必要がある。
無限責任社員の場合、責任の範囲が広く、事業失敗の責任が重い。

まとめ

自分の求める会社形態の決め方

さて、ここまで株式会社、合同会社、合名会社、合資会社を比較してきました。
しかし、結局どの会社形態が自分に合っているかはなかなか決められないと思います。

そこで、会社形態を選択する上で一つの指針を提示させていただこうと思います。

「まずは一歩踏み出してみる!」という気持ちの方は合同会社!

まずは一歩踏み出してみる!


合同会社は株式会社と比較した場合、設立費用が安く、決算公告義務や役員の任期もないためランニングコストが安く済みます。

また、株式会社と同様に法人の節税メリットが享受でき、責任も有限責任の範囲に留まります。

必要とあらば合同会社を株式会社へ変更することも出来ますので、初期費用を出来るだけ抑えて合同会社を設立し、事業規模が拡大して上場する必要が出てきた場合等に株式会社へ組織変更するというのが私のお勧めです。

合同会社は会社法の導入とともに出来た制度であり、導入当初は知名度も低く、資金調達をする上でも株式会社に比べハードルがありました。

現在では、多くの会社が「合同会社」という選択をしているため、合同会社というだけで敬遠されるようなことは非常に少なくなってきているように思います。

「合同会社」という名称をあまり耳にしたことがないという理由だけで選択肢から外してしまうのは勿体ないと思いますので、きっちりと比較・検討した上で決断するようにしましょう。

合同会社での設立に向かない方

合同会社という形態は非常にお勧めの制度ですが、下記のような方にはお勧めできません。

下記のような場合には株式会社での設立をお勧めします。

・株式を公開することによって資金調達を検討している方

・急激に事業拡大をさせる下地があり(個人事業主として下地が出来ている等)、上場が視野に入っている方

・会社設立によって節税のメリットを享受できるだけの売り上げが見込めない方

・業界的に「株式会社」という名称が重要視される場合

会社設立で迷ったら

会社を設立するという事は非常に大きな決断ですし、人生でそう多く経験することではありません。
よくわからないままとりあえず会社設立まで行ったという方も多くいらっしゃると思います。

「会社設立時に知っていれば・・」という情報も多々ありますので、会社設立に迷ったら是非あおやぎ司法書士事務所までお問合せください。

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