よくある質問 実印と認印の違いってなに?

私の仕事では、ほぼ100%捺印をお願いするのですが、その際によく聞かれることがあります。

「実印と認印の違いって何ですか?」

みなさん何となく理解しているようなのですが、明確に説明しようとしてもなかなか難しいですよね。

そこで、今日は実印と認印の違いについて解説していきたいと思います。

注意点なんかも解説していきますので、是非ご一読ください。

目次

印鑑の種類

個人が使用する印鑑の種類として、「実印」「認印」「銀行印」「三文判」なんかはよく聞くと思います。

会社を経営しているとこれにプラスして、「会社実印」「契約印」なんかもありますね。

では、どのような違いがあるのでしょうか。

それぞれの違い

では、それぞれズバリ解説していきます。

実印とは、「役所に印鑑登録した印鑑」のことを指します。

よって、印鑑登録していない印鑑は実印ではありませんし、実印用として作成して印鑑でも役所で登録するまではただの認印です。

生まれながらの実印というものは存在しないということですね(笑)

これと同様に会社実印とは、「法務局に印鑑登録した印鑑」を言います。

個人の場合と会社の場合では、管理する管轄が違うので、登録管轄は役所だったり法務局だったりするのですが、ポイントは「登録しているかどうか」ですね。

次に、銀行印とは、「銀行に登録した印鑑」のことです。

銀行手続きも様々あり、ATMで完結する手続きもあれば窓口で手続きをしなければならないこともあります。

特に高額の振込などを行う場合にはこの銀行印が必要になったりします。

よって、銀行の窓口で手続きをする場合に「印鑑を持ってきてください」なんて言われた場合には、この「銀行印」が必要になります。

さて、ここからが区分けがよくわからない「認印」「三文判」「契約印」です。

結論から言うと、全て一緒です。(笑)

要は、実印かそれ以外かで判別するだけです。

認印は、実印の押印でなくても問題ない場合に押印することが多いですね。

三文判は、自分の認印をへり下った言い方をする場合に使います。

私もこの業界に入りたての時に、お客様から「三文判で大丈夫ですか?」と聞かれ「三文判で大丈夫です」と答えて先輩司法書士に怒られた記憶があります。。(若き日の思い出です。)

人の認印を三文判呼ばわりするのは大変失礼ですからね。

契約印も認印と同じですが、会社によっては認印と分けて運用されているようです。

ですが、法的には契約印も認印と一緒です。

ちなみにとても便利なシャチハタの印鑑ですが、これも認印です。

ただし、大量生産されており、印影がどの印鑑も同じことから使えないケースもあります。

特に市役所などで住民票を取得したりする際に認印の押捺を求められたりするのですが、シャチハタは不可と言われるケースもあります。

よって、認印で問題ないケースでもシャチハタは避けておくと無難かなと思います。

印鑑の種類のまとめ

簡単に整理しておきます。

実印=役所や法務局に登録してある印鑑

銀行印=銀行に登録してある印鑑

認印=特に登録していない印鑑

こんな感じです。

登録してある印鑑は、手続きの時に必要になるのでわかるようにテープなどで目印をつけておくと良いと思います。

印鑑に関するよくある質問集

印鑑についてよく聞かれる質問について回答していきたいと思います。

実印と認印って併用できないの?

できます。

実印はただ単に役所や法務局に登録している印鑑ですから、普段使いで使用することも全く問題ありません。

よって、「実印=銀行印=認印」とするのが1番効率的ではあると思います。

ただし、セキュリティ面から考えると非常に危険です。

日本はいまだに印鑑文化です。

重要な手続きの時には実印+印鑑証明書の提出が求められます。

そんな重要な時にしか使わない実印を、宅配の受け取りや何でもない手続きの時に使用していると盗まれたり、印影を真似した印鑑を作られてしまわないとも限りません。

よって、いくら効率的だからと言っても、全部を同じ印鑑で済ませてしまうというのはあまりおすすめできません。

印影って苗字と名前全部入れなければならないの?

印影は別になんでも大丈夫です。

私は青柳智瑛という名前なのですが、「青」だけでも構いませんし、「青柳」「智瑛」という印影でも全く問題ありません。

つまり、自分の名前と印影の文字が一致している必要はないということです。

佐藤さんが「田中」という印鑑を使っていても、それを実印登録してしまえば佐藤さんの実印は「田中」の印影の出る印鑑です。(色々混乱しそうですが・・)

極論、猫の絵でも問題ありません。(まぁ見たことはありませんが・・)

ちょっと行き過ぎた考えになってしまっておりますが、常識的な範疇で考えれば、「苗字+名前」「苗字のみ」「名前のみ」のいずれかになると思います。

特に女性の場合には、姓が変わることが多いので名前だけで作っている方も多いです。

姓が変わる度に印鑑を作り直すのも勿体無いですからね。

実印登録する印鑑って素材は決まっているの?

実印登録する印鑑の素材も特に指定はありません。

実印としてよく使われる素材としては「柘植」かなと思いますが、チタンや黒檀なんかもたまに見ます。

今では新たに作れなくなってしまったのですが、象牙なんかも高級な印鑑の素材として有名です。

ちなみに私が今まで見た最高額の印鑑は200万円です。(笑)

象牙の印鑑でした。

「その印鑑200万円だよ」なんて言って渡された時は、手が震えますよ(笑)

実印ってどんな時に使うの?

実印は重要な手続きや意思確認が必要な時に使うのですが、主な手続きは以下のようなものです。

① 不動産を購入するとき

② 車を購入するとき

③ 保証人になるとき

④ 相続手続きを行うとき

いずれも重要な手続きですし、意思確認がポイントになる手続きです。

実印を求められた時は印鑑証明書もセットなので(印鑑証明書を見ないとどれが実印か判断できないので)、実印を求められたのにも関わらず「印鑑証明書は不要です」と言われた場合には、本来実印を求める手続きではないケースが多いです。

たまに、「一応実印も持ってきてください」なんて案内されることもありますが、実印を押すのに「一応」なんてことはありません。

気になる方は注意してみてくださいね。

実印だけ窪み(印)が付いてないのだけど、なんで?

これは豆知識に近いですが。

みなさんが使っている印鑑の内、持つところに窪みがついているものはありませんか?

窪み以外にも印が付いているものもあると思います。

窪み(印)がついていると、印鑑の向きがすぐにわかるので押印するときに便利なんですよね。

ただ、実印にはこの窪み(印)をあえてつけていないことがあります。

その理由は、「実印を押す際は、重要な場面であり、窪みがなければ実印を押すときに印鑑の向きを確認することになる。そうすると、僅かに「本当に押していいのか?」と考える時間ができる。この時間を持たせるために実印には窪みがついていない」のだそうです。

そう言われると、なるほどねーと思いますよね。

私はこの話を聞いて妙に納得した記憶があります。

まとめ

最後にまとめておきます。

実印=役所や法務局に登録してある印鑑

銀行印=銀行に登録してある印鑑

認印=特に登録していない印鑑

全部の印鑑を同一印鑑とすることもできるが、セキュリティ面に不安が残る。

できれば、実印は金庫などに保管しておき、銀行印も気軽には使わない。

普段使いの印鑑として、シャチハタとシャチハタ以外のものを用意しておき、内容によって使い分ける。

こんな感じで分けておくといいかなと思います。

今はあらゆるものがデジタル化されてきていて、いつか日本の印鑑文化に終わりが来てしまうかもしれません。

確かに印鑑は面倒なところもありますが、反面、使い勝手が良いケースもあります。

できれば印鑑文化を残したデジタル化が進んでくれるといいですね。

今日は終わりです。

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