相続人不存在による所有権登記名義人氏名変更〜備忘録を兼ねて〜

一般の方にはあまり関係のない話かもしれませんが、ちょっと珍しい登記をやりましたので備忘録を兼ねて書き残しておきたいと思います。

相続人不存在による所有権登記名義人氏名変更登記についてです。

私も10年以上司法書士をやっておりますが、この登記は初めてでした。

レアな登記だと、「概略は勿論知っているけど、細かいところはよく知らない。本当にこれでいいのか?」となりがちなので、同業の方や途中まで弁護士さんにやってもらったけど、登記は自分でやってね〜と言われた人向けに書いていきたいと思います。

目次

相続人不存在とは

知り合いの弁護士さんから「相続人不存在による相続財産清算人の登記よろしく〜」と連絡が来たところからスタートしたのですが、正直この登記を出したことがなく、受験依頼触ったことのない分野でした。

確かそんなに面倒な登記ではなかった筈・・くらいなものです。

そこで改めて調べ直してみたのですが、「相続人不存在」には2つの意味があります。

1 相続人が存在しないとき

2 元々相続人は存在していたが、相続放棄等により結果的に相続人がいなくなったとき

要は誰も相続人がおらず、引き継ぐ人がいない状態です。

これから特別縁故者への財産分与とか国庫への帰属とか色々手続きがあるわけですが、その初期段階として、「相続人探したけど、とりあえず見つからなかったので、相続財産清算人(弁護士さんが多いです。)を選任して、法人化した上で手続き進めましょう」といった手続きです。

ちなみに、本件に関する条文は以下のとおりです。

民法951条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とする。

民法952条第1項 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。

相続人不存在による所有権登記名義人氏名変更登記

まずは申請書の形から確認していきます

登記の目的  所有権登記名義人氏名変更
原   因  令和〇〇年〇〇月〇〇日相続人不存在
変更後の事項 登記名義人 亡A相続財産
申 請 人  〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号
       亡A相続財産清算人 B
添付書類   登記原因証明情報
       代理権限証明情報
登録免許税  不動産1個につき1000円

まぁこんなのは調べればいくらでも出てくるので、そんなに問題になることはないのですが、司法書士的には、「それで何を添付して申請すりゃいいのよ?!」というところで迷うわけです。

登記原因証明情報

今回の申請においてのキモは登記原因証明情報でしょう。

司法書士の方々は大体何かしらのマニュアルを持っていると思いますが、私が持っている参考文献には概ね以下のように記載がありました。

相続人が不存在であり、相続人のあることが明らかでないために相続財産を法人名義とする場合の登記原因証明情報は、所有権の登記名義人が死亡していること及びその相続人が不存在であることを明らかにするための戸籍等全てである。
ただし、相続財産清算人選任書の記載によって、当該相続財産清算人の選任が相続人不存在の場合であること及び所有権の登記名義人の死亡年月日が明らかであるときは、戸籍等を提供する必要はない。

さて、この中でよくわからなかったのが、「相続財産清算人選任書の記載によって、当該相続財産清算人の選任が相続人不存在の場合であること」です。

ここで私が申請しようとした際の選任書の記載を確認します。

                     審判
住所 〇〇
申立人 〇〇
本籍 〇〇
最後の住所 〇〇
      被相続人亡A
      昭和〇〇年〇〇月〇〇日生
      令和〇〇年〇〇月〇〇日死亡

 上記申立人からの相続財産清算人選任申立事件について、当裁判所はその申立を相当と認め、民法952条1項により次のとおり審判する。
主文
1 被相続人亡Aの相続財産清算人として、
  住所 〇〇 
     弁護士Bを選任する。

この「民法952条1項により」という記載を以て、「相続財産清算人選任書の記載によって、当該相続財産清算人の選任が相続人不存在の場合であること」として良いのか、それともこの記載だけでは足りず、戸籍等の記載が必要なのか??

この点に非常に頭を悩ませました。

あくまで私が調べた限りですが、明確に選任審判書に「民法952条1項により」という記載があれば、戸籍等の添付は不要と解説している先例等は発見できませんでした。

最終的に法務局に照会し、「民法952条1項により」という記載を以て、「相続財産清算人選任書の記載によって、当該相続財産清算人の選任が相続人不存在の場合であること」とし、戸籍等の記載は不要という結論に至りました。

まとめ

今回はその他の部分については疑義がなく、比較的綺麗な登記簿謄本でしたので、悩んだのは戸籍の添付の有無だけでした。被相続人の登記簿上の住所と最後の住所が繋がらない時には合わせて住所変更登記が必要等々、他にも論点はありましたが、選任書の記載と戸籍の添付の要否について解説されているものは見当たらなかったので、備忘録として書き残しておく次第です。

それにしても、司法書士としての年数を重ねれば重ねる程、知らないことが増えていくなぁと思う今日この頃。

いつまで経っても勉強し続けなければりませんね。

今日はこの辺で。

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